カレン族の村でカレンシルバーのブレスレット作り

「今度この村に遊びに行ってみない?カレンシルバーのアクセサリーを作ってる村で、日本のことが大好きやねん」
友人から届いたDMには、森山直太朗の『さくら』を一生懸命に歌うタイの人たちの動画が添えられていた。
その優しい歌声に惹かれ、「行く行く!」と即答。
気づけば、1月の訪問が、最初にもらったDMから10分後には決まっていた。
その村があるのは、タイのチェンマイの山奥。
DMを打っているのは大阪の自宅。
まるで梅田でランチの約束でもするかのような軽やかさで決まった予定だったけれど、タイに関わる友人たちのフットワークの軽さと、話がポンポンと進む軽快さは、いつだって心地よくて大好きだ。
3ヶ月も前の約束だし、直前でなくなることもあるかな……なんて少しだけ疑っていたけれど、その日はちゃんとやってきた。
チェンマイ空港から出発、洞窟へ寄り道

当日の朝は、分かってはいたが早かった。
朝一番のバンコク発の便に乗るため、3時半に起床。半分夢の中にいるような足取りでドンムアン空港からチェンマイ空港へ降り立つ。
待ち合わせの7時半、合流した友人はバンコクから夜行バスで来たという。
片道700バーツ。安い。私もそうすれば良かった。
「そんな良い方法があるなら早く教えてよ」と言いかけた言葉は、そっと胸にしまった。
友人が手配してくれた車に乗り込み、いざ目的の村へ。チェンマイの慣れない道を平然と運転する友人には、尊敬の念しかない。

道中、ドラクエのダンジョンを彷彿とさせるような不思議な洞窟に立ち寄った。(基本、洞窟を見るとドラクエかゼルダしか思い出さない)
入り口には鎮座するガネーシャ。奥へ降りていくと、三叉の槍を手にしたシヴァ神が姿を現した。

タイは、国民の9割が仏教徒だが、実際にはヒンドゥー教や精霊信仰がグラデーションのように混ざり合っている。
有名な「ピンクのガネーシャ」もそう。このカオスで寛容な宗教観が、タイの魅力の一つだと思う。

トイレを済ませ、洞窟を後にする。
空港から車を走らせること2時間半。
大阪から名古屋へ向かうほどの距離を経て(つい例えが大阪中心になってしまうのはご愛嬌)、私たちはようやく目的地にたどり着いた。

到着して知ったのだが、そこはチェンマイではなく、お隣のランプーン県だった。

出迎えてくれたのは、カレンシルバー職人のアマリンさんと、妻のぺぺちゃん。とっても可愛らしい美男美女のご夫婦だ。

彼らの住まいは、タイの伝統的な高床式。
その軒下のスペースが、そのままシルバー工房になっている。吹き抜ける風が心地いい。
最近ではここで、外国人向けのシルバーワークショップを行っているそう。
初めてのカレンシルバーアクセ作り

今回私たちが挑戦したのは、ブレスレット作り。
何を隠そう。私はカレンシルバーのアクセサリーが大好き。リングもネックレスもブレスレットも、タイに来るたびにコツコツ買い集めている。
そのコレクションに、自分で作ったアクセサリーが並ぶなんて、この上ない喜びだ。

カレンシルバーは純度95%以上のシルバーで、柔らかく加工しやすいのが特徴。
まずは銀の延べ棒を作るところからスタートした。
銀の価格が高騰しているという切実な話を伺いながら、まずは必要な分の銀を溶かすところから始める。

足元のペダルを踏んで空気を送り込み、火を熾す。「シュッシュッシュ」と規則正しい音が響く。

涼しげにこなすアマリンさんとは裏腹に、私は5分もすれば足がパンパンに。
「疲れた〜!」と嘆いてたら、9歳娘が選手交代。
私よりもずっと器用にペダルを踏み、銀を溶かしていく。大きくなったもんだ。

そうこうしているうちに、銀の延べ棒が完成!!

この延べ棒をハンマーで打ち付け、平らにしていく。

さらに器械に入れて、形を整える作業。
私、カレンシルバーは大好きだけれど、どうやら作るのは向いていないようだ。この器械を使う作業でも、非力さと不器用さを痛感した。
要領の掴めない私を尻目に、ここでも娘が獅子奮迅の活躍を見せてくれた。
張り切ってお手伝いしてくれてる。ええ子や。
村の恵みをいただく至福のランチ

作業の合間のお楽しみは、ランチタイム。
テーブルには、ぺぺちゃんが作ってくれたご馳走が並び、アマリンさんがご飯をよそってくれている。

「タイの村のご飯ってどうなの?」って不安に思う人も多いかもしれないけれど、北タイの家庭料理ってめちゃくちゃ美味しい。
辛すぎず、素材の味を活かした素朴な味付けは、日本人の口にもよく合う。
昨年も別のカレン族の村にホームステイをしたけれど、娘は、そこでいただいたご飯がタイで食べたご飯のなかで一番美味しいと今だに言っているほどだ。

1月の乾季で気持ちのいい昼下がり、半屋外でみんなと囲む食卓は幸せな時間だったなあ。

食事のあと、作業再開。
午前中でベースの形はほぼ出来上がっていたので、次は模様付けの作業に取り掛かる。
模様をつけるための道具も色々と用意されていて、使うものによってその表情はグッと変わるらしい。

カレン族のアクセサリーに刻まれる模様には、自然や暮らしへの祈りが込められている。そのため、動物や植物をモチーフにしたものが多い。
私は三角形の形を選んだ。これを横に掘り続けていけば、綺麗な模様になるはず。
…だったのだが、狙ったところに模様をつけていくのが見かけよりもずっと難しい。
歪な模様になってしまったのが悔やまれる。


アマリンさんが綺麗なカーブをつけて仕上げてくれた。

試行錯誤の末、ようやく完成!
少し不恰好だけれど、自分で叩いて刻んだ模様。他のどのアクセサリーよりも思い出深い、一生の宝物になりそう。

シルバーは男性がつけてもカッコいい。
タイ住みます芸人のあっぱれコイズミさんが、この工房で婚約指輪を作られていてとっても素敵だった。
一生モノの指輪をこの村で手作りするなんて、なんて素敵なんだろう。

……とはいえ、本音を言えば。
工房に併設されたアマリンさんのショップに並ぶ、プロの手による何千倍も洗練されたアクセサリーたちに、私は大興奮!!



カレンシルバー好きにとって、ここは天国…!
しかも工房直販なので、街中よりもお安く販売されている。

今回、作る工程を知ってしまったから、工房価格はどう考えても安い。
素晴らしく丁寧で時間のかかる工程を経て作られたものなので、むう少し高くてもいい気がするけど、卸値とはそういうものなのか。
糸を紡ぎ布を織る

私がシルバー作りに没頭している間、娘は庭の畑を散策。
日除けの竹傘がなかなか様になっている。

庭でコットンの元となる綿花を収穫。

天日干しされた繭玉たち。これを工房へ運びます。

種を取り、綿の繊維を整えるカーディング作業。さらに奥では、糸紡ぎの作業も。

紡いだ糸を、腰機(こしばた)という機織り機で、1枚の布にしていく。
カレン族の機織りは、床に座り、足を突っ張り、腰に帯を回して経糸(たていと)の張りを腰で調整しながら織っていく「腰機(こしばた)」と呼ばれるもの。
世界的に見てもこの手法で織っているところは少なくなっているそうだが、カレン族の間ではまだまだ主流だ。
伝統的な織り布の中には、この「腰機」でしか織ることができない複雑な柄があるのだという。
私も体験させてもらったが、ここでも案の定、不器用さを発揮。村のみんなが苦笑いしながらフォローしてくれた。
リーの村を散策
シルバー作りが落ち着いたあと、アマリンさんに村を案内してもらった。


ここでも腰機で織物をしている女性。


器用にカゴを編む男性。

夕方、学校から帰宅する子どもたち。

村の真ん中にそびえ立つ黄金の仏塔「プラマハータート・チェディー・シーウィアンチャイ」が、沈みゆく陽光を浴びて神々しく輝いている。
静かだ。こんなに綺麗な風景なのに、私たち以外誰もいない。
わざわざ遠くまで足を運んでみてよかった。
優しい時間が流れるこの村で、その土地に流れる時間と、人の営み。それを見て聞いて感じることができたから。
またすぐにても訪問したい、そんな素敵な村だったな。
カレンシルバー作りの参加方法
Instagramに直接連絡

アマリンさんのインスタグラムにDMで連絡してみてください。
ワークショップの予約ができます。どうやらチェンマイ空港からバスでも行けるみたい(アマリンさんに聞いてみて)
ツアーで参加する
アマリンさんとの会話はタイ語。
もし日本語通訳が欲しい、村まで車で連れて行ってほしいって方は、友人の旅行会社Mani Mani Thailand にインスタのDMで連絡すると手配してくれます。

その他、Velraでもツアーとして販売されているのを見つけました。






